秘密(東野圭吾) 感想
ある事故がきっかけで、娘の中に亡くなった母親の魂が宿ってしまったことから始まる物語。
この設定は僕にとってはおもしろく、ストーリーの枠組みとなるアイデアはよかったと思います。
この物語のメインは、テディベアの指輪の秘密と加害者の秘密の二つでしょう。
でも、このメインの二つの柱もそれぞれが独立していて、組み合わさって話がおもしろく展開していくというわけではありませんでした。
なので、ストーリーを通して特に大きな山場を迎えるでもなく、ある程度予想できる範囲で話が展開していき、収束したかんじでした。
それから、ストーリーを加速させる要素も少なかったです。
400ページを超える長編にちりばめられた、ストーリーを盛り上げる要素がいまいちたりなかったかなぁという印象でした。
まあ、それでも1日で読み切ってしまったので、やってることと感想が矛盾していますね。(笑)
また、主人公の平介の感情が揺れ動く様子もこの物語の読みどころです。ぶつけどころのない複雑な気持ち、狂ってしまいそうなほどの強い感情がうまく描写されていると思います。
読者の性別によって、この物語のとらえかたはかなり変わってきそうだなぁと思いました。