しゅうぺいの学びログ

本から学んだことをもっと世界に広めたい。小説・ビジネス書・TEDの感想などを綴ります。

ベンチャーの失敗から学ぶ 『社長失格/板倉雄一郎』

 『社長失格/板倉雄一郎』を読みました。

 

以前読んだ、DeNAファウンダー・南場智子さんの著書『不格好経営』に登場したこの本。南場さんが会社を立ち上げた時に、メンバーを口説くためにこの本を使ったらしいですね。

 

社長失格

社長失格

 

 

目的

  • 事業を創造し、会社を立ち上げるということを知る。
  • 会社が潰れてしまう原因を1つでも学び取る。

キーワード

ベンチャー、経営、倒産、失敗、広告、ビジネスアイデア資金調達

 

【学んだこと】

ビジネスアイデアについて

  • 電話会議のボイスリンク
  • 広告の効果測定ができるIMS(インタラクティブ・マーケティングシステム)
  • 広告収入によりネットが無料で使えるハイパーネット

こうした数千万、数億円規模のビジネスは、著者の偶発的な経験や日々の疑問点から生まれています。

 

特に「広告×効果測定」という考え方は、ネット広告の普及していない当時では非常に先駆的なアイデアだったと思います。

 

ここで思い出した言葉。

発見とは、誰もが見ているものを見ながら、誰も思いつかなかったことを思いつくことである。

 

私たちの足元にもきっとビジネスのダイヤの原石が転がっているのかもしれません。日々の生活におけるちょっとした不便や違和感に気づけるかどうかが、成功する起業家・ビジネスマンとそうでない人を分けるのだろうと思いました。

 

また、アイデアに対する著者の考え方も参考になりました。

 卓抜なアイデアを思いついた人の話を聞くと、ほとんどの場合、入念なマーケティング理論的に打ち出されたものではなく、瞬間的に脳裏をかすめるものであるという。

 ただし、それは単なる思い付きとはおそらく異なる回路で発生するものだ。ある目的や欲求をベースに、日々の情報がその人の脳に断片的に積み重ねられ、あるとき最後のキーが入力されると全体が有機的に絡み合い、新たなアイデアが誕生する。

 

会社が潰れた理由

ぼくには1つの理念があった。それは「いかに自分の事業をつぶせるか」である。誰もが自分の事業の永続を願っている。しかし、時代が、環境が変われば、1つの事業が同じ様相で生き延びることはできない。ならば、どうすればよいか。その事業の当事者が先回りして「この事業はどうやったらつぶれるのか」を想定し、原因を先に突きとめればよいのである。

本書にあったこの考え方は自分にとって新しい視点を与えてくれました。

 

そこで、この本からも『株式会社ハイパーネットはなぜ潰れたのか?』を学んでおきたいと思います。

いわゆる4つの経営資源『ヒト・モノ・カネ・情報』の内、ヒトとカネに原因があったことがこの本から読み取れました。

 

ヒト

筆者は社内人事、社外営業、金融機関との付き合い方など、企業や社会といった組織に対する根本的な理解を欠いていたがためにミスを犯し、そのミスの集積が倒産につながったといっても過言ではないと振り返っています。

また、資金繰りに追われる中で、社員とのコミュニケーションがおろそかになり、次第に社内の人心を掌握できなくなっていたと述べています。

 

『ウォルマートの哲学』という本に以下の言葉があります。

リーダーの役割とは、ビジョンに明確な形を与えることで、他のメンバーがそのビジョンを心から受け入れ、それを自分のものにできるように手助けすること。

 

社長は組織が大きくなろうとも、”顔”の見えない「向こうの人」になってはいけないのだとわかりました。

 

カネ

資金調達にかなり苦労したことがよくわかりました。

個人の感情と企業の理論。担当の銀行員との向き合い方に問題があったと筆者は反省しています。仕事相手として親しくても、「友達」ではない。いざとなれば、「個人」から「企業人」に変わる。つまり、最終的には所属する企業の利害を優先する。

組織とそこに属する人間が逆風の環境下でどのような行動をとるのか予測することが必要なようです。

 

また、社長から社員に給料が払えないことを伝えている場面が印象的でした。社員の給料を確保し、めしを食わせ続けていくことが社長の責任。その影響範囲を考えると尋常じゃないプレッシャーだと思いました。

 

 

【感想】

 失敗から学ぶことはたくさんあります。その点でこの本は非常におもしろかったです。「経営者の失敗」をケーススタディとして知ることができる貴重な本だとおもいました。また、ベンチャーならではの事業のスピード感を味わうこともできました。

 

ハイパーシステムはビジネスアイデアとしては非常に優れていたが、最終的に会社は倒産してしまった。斬新なアイデアとともに、アイデアを形にする力も重要になってくる。アイデア勝負の起業はリスクが大きいことがわかりました。