「目標」との上手な付き合い方 『仕事は楽しいかね?/デイル・ドーテン』 その1
『仕事は楽しいかね?/デイル・ドーテン』を読みました。
この本では、マックスという実業家のおじいさん(以下マックスじいちゃん)から成功哲学を学んでいきます。
キーワード
変化、進化、目標、違い、偶然、試行錯誤、失敗と問題、謙虚、アイデア
読む目的
自己啓発の継続。成功哲学、アイデアを取り入れ、自分が持っている考えと比較し、ブラッシュアップする。
- 作者: デイルドーテン,Dale Dauten,野津智子
- 出版社/メーカー: きこ書房
- 発売日: 2001/12
- メディア: 単行本
- 購入: 94人 クリック: 1,676回
- この商品を含むブログ (229件) を見る
主人公は人生にどこか悲観的。おまけに、おじいさんの教えにも懐疑的な立場をとります。
対話形式で話がすすんでいくのですが、読者の多くはこの主人公に自分を重ね合わせて、本を読んでいくことになると思います。
そのおかげで物語に入り込みやすいし、教えも素直に受け取ることができます。
最近では、『嫌われる勇気』がベストセラーになっていましたが、ちょうどそれと同じような形式です。
伝えたいことと逆の考えを持った人物を登場させて、その人を説得していくという構成はいつか文章を書くときに役立つかもね。読者の共感を誘うことが大事なのでしょう。
つらつらと一方的に伝えたいことを主張する本よりも優れた手法だなと思います。
確か、どこかの「上手な文章の書き方」というコラムにも同じようなことが書いてあったはず。
さてさて、それでは本題へ。
この本からはたくさんのことを学びました。
学んだこと
- 「目標」との上手な付き合い方
- 「成功する自分」はどこにいるか?
- 神様からアイデアを授かる方法
それぞれの学びがすごく深かったので、これから3回に分けてこれらを紹介していきます。まずは、1つ目『「目標」との上手な付き合い方』について。
成功に目標は必要か?
この本では冒頭のあたりで、成功哲学によくある「目標をしっかり定める」「自分の人生を管理する」といった考え方に大きく×印がつけられます。マックスじいちゃんは目標をもつことにはかなり否定的です。
なかなか刺激的なことをやってくれるぜ、マックスじいちゃん!
僕はそう思いました。
でも、それと同時に「ちょっと待って。やっぱり目標を立てることって大事じゃないか?」という思いがあったのも事実です。
おかげで、モヤモヤしながら読み進めることになってしまいました。
そして、かなり考えながらページをめくっていく中で、僕は大事なことに気が付きました。
それは、この本では、「目標」とは長期的なもののことで、「夢」にかなり近いニュアンスで使われているということです。
この気づきによって、マックスじいちゃんの教えがスッと理解できるようになりました。
ということで、やっぱり『目標』は必要なんだと僕は考えます。だって、「テストで100点とるぞ!」とか「毎日10個の英単語を覚えるぞ!」とか、目標を決めないと、やる気がでないですよね。
それに対して、例えば「5年後にはこんな人間になりたい。」といった、長期の目標や夢は持つべきでないというのがこの本の考えですね。
目標や夢をもつことはおろかだとさえ、マックスじいちゃんは言います。
『進化』にフォーカスしよう!
人生なんて思いどおりにならない。
明日は今日と違う自分になる。
人生は進化だ。そして進化の素晴らしいところは、最終的にどこに行き着くか、まったくわからないところなんだ。
このあたりはなかなかの名言ですね。これらの言葉にマックスじいちゃんの哲学がよく表れていると思います。
ただ、「目標をもつべきではない。」と「明日は今日と違う自分になる。」を結びつけるのは難しいように思います。
そこで本文をもとに、僕は以下のように解釈しました。
解釈1
『人生』を簡単に図式化するとこんなかんじ。
- 明日は今日と違う自分になる=網目を1つ移動する(成功に1つ近づく)
- 網目のどこかに成功が存在する。
- 成功は存在するが、どこにあるかはわからない。→手当たりしだいに移動するしかない。
- 成功までの道はたくさん存在する。
解釈2
- 成功は自分の知らない世界にある。
- 「知らないこと」を目標にすることはできない。
- 明日は今日と違う自分になる=知ってる領域を広げる
1と2で若干同じこと言ってるかも。
感じたこと・考えたことを言葉や図で表現するのは難しい・・・
でもまとめると、
知ってることの範囲でしか目標をたてられないんだから、無知の自分のまま目標を立ててもそれは真の成功を成し遂げた自分ではないかもしれない。それなら、目標を立てずに、進化することだけに集中しようよ。
こんな感じのことがこの本のメッセージだと僕は考えています。
最後に
目標をもつべきではない、というのはあくまでも1つのアイデアです。日々の進化の重要性を説くために、極論をもってきているのだと思います。だから、夢や目標をもつのも悪くはないと僕は思います。避けるべきは、その1つの目標にとらわれて、固執してしまうことではないでしょうか。知ってる範囲でたてた目標は、真の成功ではない可能性も十分にありえます。だからこそ、自分の心の声にしたがって、目標を柔軟に修正していくことが大事だと思いました。
「心の声に従え」は、スティーブ・ジョブズが言っていましたね。