しゅうぺいの学びログ

本から学んだことをもっと世界に広めたい。小説・ビジネス書・TEDの感想などを綴ります。

思い出って、思い出すたびに輝きを増す 『砂漠/伊坂幸太郎』

砂漠/伊坂幸太郎』を読みました。

 

こんな人におすすめ

  • 時間を持て余した大学生
  •  日常を抜け出して青春のあの頃にちょっぴり戻りたい人
  • 元気がほしい人

 

砂漠 (新潮文庫)

砂漠 (新潮文庫)

 

 

 

あらすじ

入学した大学で出会った5人の男女。ボウリング、合コン、麻雀、通り魔犯との遭遇、捨てられた犬の救出、超能力対決・・・。ともに経験した出来事や事件が、互いの絆を深め、それぞれを成長させてゆく。自らの未熟さに悩み、過剰さを持て余し、それでも何かを求めて手探りで先へ進もうとする青春時代。二度とない季節の光と闇をパンクロックのビートにのせて描く、爽快感あふれる長編小説。

 

このシーンにグッときた

「そうやって、賢いフリをして、何が楽しいんですか。この国の大半の人間たちはね、馬鹿を見ることを恐れて、何もしないじゃないですか。馬鹿を見ることを死ぬほど恐れてる、馬鹿ばっかりですよ。」

  合コンで熱弁をふるう西嶋のセリフ。合コンで女の子を前にこんなことをまじめに語ってしまうなんて、すごく西嶋らしさが出ている。愚直という言葉が彼にはぴったりだ。でも、ただ熱いだけじゃなくて、本質もついていると思う。批評家を気取って、ああだこうだ言うんじゃなくて、何かアクションをおこせる大人にならなければいけないなと感じた。

 

「今、目の前で泣いている人を救えない人間がね、明日、世界を救えるわけがないんですよ。」 

  この言葉も本当に西嶋らしい。彼の信念そのものだ。「今はそんな時代じゃないから。社会はそんなに甘くないんだ。」こんな言い訳をして、自分の心の声に素直になれない大人にはなりたくないなぁ。社会や時代の不条理を嘆くだけじゃ何も変わらない。まずは自分が変わる。そんな人間になりたい。

 

感想

 春夏秋冬の季節をベースに展開していく、5人の仲良しな大学生が織りなす物語。大学を卒業する今の時期にふと読みたくなったので再読した。東堂、西嶋、南、北村、鳥井。みんなそれぞれがいいキャラしてます。過ぎてしまったら二度と戻ってくることのない青春時代。その一瞬一瞬がどれも輝いていて、かけがえのない思い出になっていく。「思い出は作るものじゃなくて、勝手になっているもの」という鳩麦さんの言葉がいい。最後の学長から卒業生に向けた言葉も心に響いた。いくら懐かしんでも、もうあのころに戻ることはできない。生きている限り時間はどんどん流れていく。前に、前に進んでいかなくちゃいけない。これから社会に出ていこうとする僕に元気と勇気をくれた本だった。