よいこの君主論 感想
『よいこの君主論』を読んだので、その感想です。
再読ですが、何度読んでも笑っちゃいます。
それくらいおもしろいです。おすすめです。
小学生が覇道を極める!?
この本のコンセプトは「小学生にもわかりやすい君主論」ということで、
主人公のひろし君が5年3組のクラスを統一するまでの道のりが描かれています。
そして、各章ごとにふくろう先生のわかりやすい解説がついています。
本書の冒頭には以下のようにあります。
よいこのみんなへ
この本では、クラスを制圧するために役立つ知識や、下々の者どもの心理などをわかりやすく解説しているよ。
(中略)
さあ、みんなもふくろう先生と一緒に、立派な君主になるための方法を学んでいこうね。
それから、ご丁寧に保護者の方へのあいさつまでありますよ。
「本書がみなさんのお子様の覇道の一助となれば幸いです。」だそうです。
ただ、本当に小学生に読ませていいものか。(^^;)
(少し読ませてみたい気もしますが。)
いい意味で、どこまでもふざけた本ですね。
イメージでは、もしドラみたいに難解な名著を物語と組みあわせてわかりやすくしたかんじでしょうか。
もしドラは『ドラッカーのマネジメント×野球部』でしたが、この本は『マキャベリの君主論×小学校のクラス』になっています。
終わりの会(怨嗟渦巻く恐怖裁判)
登場人物はみんな小学5年生です。
物語は遠足や夏休み、ドッジボール大会などなど、一年間の小学校のイベントにあわせてすすんでいきます。もちろん、放課後など日常的なできごともあります。
でも、子供とあなどるなかれ。登場する子供たちは本気でクラスを制圧するために策を練り、熱い覇権争いを繰り広げます。
特に、ひろし君の「駄菓子屋の妙計」は必見です。
他には、終わりの会(帰りの会)がめっちゃなつかしかったです。
それにしても、恐怖裁判って(笑)
「今日、良かったことはありますか~?」
「では次に、悪かったことはありませんか~?」
の流れはたまらなくなつかしいですね。
思わず自分が小学生の頃を思い出してしまいました。
おもしろさの秘密は?
まあ、こんな風にツッコミどころが盛りだくさんな本書なんですが、
僕が一番好きなのはやっぱり、各章のおわりで出てくるはなこちゃんのコメントですね。
ふくろう先生からはなこちゃんとたろうくんの2人が覇道を学んでいるのですが、
はなこちゃん、見かけによらずめっちゃ口が悪い。(笑)
なんというか、もうすでに女王様の片りんを見せつつありますね。
そして、この本を読んでいて思うのは、おもしろさがそうしたギャップにあるのではないかということ。
はなこちゃんのコメントといい、挿絵の子供たちの悪すぎる笑みといい、
思わず笑ってしまう秘密はそのギャップから生まれているんだと思います。
この笑いのセンスをもって、本書を世に送り出した作者には脱帽です。
こういう笑いを生み出せる人になりたいなぁと思います。
というわけで、感想は以上です。
ぜひ、あなたもこの「よいこの君主論」を手にとってみてください。